2024年3月15日発行 第257号

究極の贅沢
 毎年3月には、バロー文化ホールで大学進学にあたっての奨学金給付を希望する学生の面接試験が行われています。バローホールディングス創業者である伊藤喜美さんの設立された、公益財団法人伊藤青少年奨学会による奨学生の選考のための面接試験です。
 私は数年前から、この奨学生の選考委員として、書類選考を通った50名ほどの学生との面接試験に携わっています。大学4年間で144万円の給付(返済不要)を受けることができるチャンスです。いろいろな意味で、そのお金を本当に必要としている人に給付したいと考えて、学生たちとの対話に真剣に臨んでいます。
 家庭の事情で経済的困難な状況にもかかわらず、明確な目標を持って学び、卒業後は社会に貢献していきたいという学生は意外に多くて、うれしい気持ちにさせられます。そして、その目標実現のための努力を必ず続けてほしい、そのためにこのお金を有効に使ってほしいと願いながら面接を終えます。
 奨学金と言えば、岐阜市の弁護士廣瀬英雄さんは、5年前に私財1億円を拠出して大学進学者を支える廣瀬英雄奨学金基金を設立されました。「貧富の差が広がっている現状をなんとかしたい。若者に夢を持ち続けてもらいたい。」との思いで支援が続けられています。廣瀬さんには尊敬の念を抱くと同時に、思いがあれば一般人でも奨学金基金を始めることができることを教えていただきました。
 私のデスクサイドの壁には、カレーハウスCoCo壱番屋の創業者宗次徳二さんの名言が貼ってあります。それは、「究極の贅沢とは、そのお金を必要とする人のために遣うことだ。」というものです。私はクライアントからお金について相談を受けるとき、この名言をよく使わせてもらっています。
 「究極の贅沢」は、金額の多寡に関わることではないので、富裕層の特権ではありません。つまり、誰でも「究極の贅沢」を享受できるわけですが、必要なこともあります。それは、「そのお金を必要とする人」との出会いを実現するための情報収集と、温かい眼差し、思いやりのある想像力を持っていることだと思っています。
CPS総合法務事務所 司法書士 加藤健治
著作権侵害すると,どうなる?
侵害しないために注意すべきこと(その10)
 今回,私自身の経験を通じて,著作権侵害による損害の拡大がものすごいスピードでなされることを実感しました。著作権侵害については,刑事告訴をし,加害者は刑事処罰をされました。民事の損害賠償請求については,さすがに自分自身のことを自分でするのはしんどいので,他の弁護士に別途依頼しています。
 刑事告訴した際,警察官が「しっかり捜査します」と言ってくれたとき・・・
 弁護士が,私がやります,と言ってくれたとき・・誰かが自分のことを守ってくれていると思えて心から安心しました。私も,誰かのためにそう思ってもらえるような弁護士でありたいと思います。著作権侵害をされて落ち込んでいるとき,私の電子書籍をとても分析してくれて,めっちゃ嬉しい評価をしている方を見つけました。「ネタバレ」要素もあるけれど,全文を掲載しているわけではないし,なにせ,著者が喜ぶコメントだから・・・私が著作権侵害などというわけはない。以前書きましたが,究極的に考えると,著作権者がその行為を嬉しく思うか,嬉しく思わないか,で考えれば,刑事告訴をされる,損害賠償請求をされる,というような失敗をすることは無いかな,と思っています。本の内容すべてをそのままコピペするようなブログやYouTubeは,著作権者の本を買ってくれる人を減らしてしまうから,著作権者は喜ばないでしょう。でも,うまく一部を引用して,紹介し,結果として本の購入者が増えるのであれば,著作権者は嬉しいことが多いと思います。誰かが作った「著作物」を自分が譲渡していいのか,複製していいのか?と迷ったら,まず,その行為によって,著作権者(≒製作者)がどのように感じるのだろう?ということを意識してもらえるといいかなと思います。
 注意した上で行うことがご自身を守るためにも重要になります。
 これからも,自分自身の経験も通じながら,身近だけれど,弁護士として,注意して欲しい点を伝えていきたいと思います。本当に怖いと感じるときは,自分だけで立ち向かわないで大丈夫です。専門家である弁護士や警察官を頼ってくださいね。
岐阜県多治見市大日町21 大日ビル3号
多治見ききょう法律事務所 弁護士 木下貴子(岐阜県弁護士会)
法人類学~バチ(罰)
 土地の境界争いについて、面白い解決方法がありましたのでご紹介いたします。
 東アフリカのとある部族で境界争いがあった時に、村の村長が間に入ってお互いの言い分を聞く訳ですが、日本でいうところの裁判所の裁判官の役割のような感じです。
 話し合いののち、訴訟の結果は一旦停止して、被告側に呪いの呪文を唱えた呪物を食べさせる(ヤギの肉とか)のです。そしてひたすら「待つ」のです。その後、被告に何か災いが起きると被告は、原告側の主張を認めて解決するという仕組みです。
 この地域では、災因論といって、災いには必ず原因があるという解釈があるそうで、病気や家事、交通事故のような様々な災いが、最初は遠い親戚からだんだん自分に近づいてくると考えられています。私も昔おばあちゃんに「そんな事しとるとバチが当たる」とよく叱られました。ここの部族地域では、このバチを信じている訳ですね。
 もう随分前の話になりますが、境界立会でお隣が滅茶苦茶なことを言って境界を主張してきたことがありました。それでもこちら側の地主さんは「金持ち喧嘩せず、負けるが勝ち」と言って笑っていました。立派な方でした。ちなみに僕はその時、お隣に「バチが当たればいいのに」と心の呪文を唱えました。
土地家屋調査士 奥村忠士
当事者は専門家に何を期待しているか
 先月、急に世界が回り出し、起き上がっても勝手に身体が倒れていく状態に陥り、夜間に救急搬送されました。結論としては、耳からくるめまいの病気。多くの場合数週間で良くなると言われたものの、ひと月経っても未だに困っており、藁にもすがる思いで何度か病院に行くことに。病院での経験が、普段の自分の仕事にも通ずる良い気づきだったのでここに書き記しておきます。
 ① 当事者は専門家がどうにかしてくれると期待する
 当事者は、「専門家が解決してくれる」と期待します。しかし、物理的な解決ができるものもあれば、できないものもあるのが現実。
 ② 専門家に「どこまで悪いことを想定しておけばよいか」を示されると安心する
 専門家は、現状をなるべく正しく把握する(より悪い病気の可能性を排除して病名を決定する)ための調査をして、莫大な知識とデータから、当事者に起こる「悪いこと」の範囲を示してくれます。それが当事者にとって安心(もしくは心構え)になります。
 ③ 当事者が知りたいのは発生のメカニズムではなく対策
 医師からは、「原因」として「耳の奥にある小さな石のような物が本来の位置ではないところに・・・」というメカニズムの説明を何度か受けました。当事者が知りたい「原因」というのは、メカニズムではなく、「何をしたからそうなったのか」、「何を避けて生活したら同じことが発生しないか」という対策につながるものです。ちなみに、「私は医者じゃないので自分で見ることのできない石がどこにあるかにはあまり興味がなくて、何をしたらこれを引き起こすかって情報がほしいのですが・・・」と一度言ってみたのですが、答えはないようです。
 今回は、私が当事者で医師が専門家。普段の仕事では、経営者さんが当事者で私が専門家。
 今回のことは良い勉強になりました。
エール行政書士事務所 行政書士 鈴木亜紀子

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